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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁
「あら、そう――」
「だって――、何んていうかな、とにかく、曲芸なんて、飛行機に比べたら、鼻くそみたいなもんだぜ、いいなあ、飛行機は……」
「まあ、素敵でしょうねエ、あたしも乗ってみたいな――」
「駄目さ、女なんて――」
「あら、そんなのないわ、女だから駄目だなんて、ひどいわ、ひどいわ……」
由子は、巧みに鼻を鳴らすと、渾身の媚態を波打たせて、黒吉の肩をゆすった。
「よせよお……」
黒吉は、口でそういいながら、由子の円い肩を、ごつごつした手で抱きかかえていた。
黒吉は、自分自身、不思議であった。
他人は元より、自分でも、この身、この容貌が、人一倍醜いことを、よく知っていた、生れつき醜男であった黒吉は、あのブランコからの墜落で、片足と片眼を失い、その上顔の右上から斜め下に、太い蚯蚓のようなひっつりを作ってしまった今、自分ですら進んで鏡を見たくないほどの、いや、黒吉は以前からこの醜貌を、ありの儘に写し出す鏡というものに、烈しい嫌悪を持っていたのであるが――それほど美しからぬ自分に、なぜこうもあの葉子といい由子といい、特別の「好意」を持ってくれるのであろうか。これが「女」