輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁

青空文庫

がっちりした体つきの、何職やら、工匠らしい者だった。

はっと、われに返って、

「あ。ありがとう存じまする」

姿を揃えて地にひざまずきかけると、工匠は、その浅黒い面と眼底に潜むどこか不敵なものを、しきりに山上へも振り向けながら。

「礼などは、どうでもいい。早くこの場をあとになさい。祭りの庭には、いまの権三のほかにも、六波羅の諜者がだいぶ入りこんでいる」

「……卯木」

「どうしましょう」

夫婦は、はたと、立ち暮れるほかなかった。

ここもついに、容れられる所ではなかったのか。いまだに、検断所の放免に尾けられている身であっては、山田申楽への座入りなどは、しょせん、夢でしかない。たとえ座入りがかなっても、やがてすぐ嗅ぎつけられて、六波羅へ曳かれる憂き目をみるにきまっている。

「やっ。この糞蛙」

ふいに、工匠の猿臂が、横へ伸びた。――気を失っていたはずの忍ノ権三が、まっ黒な血に塗られた顔をもたげて這い出しかけたのである。――その襟がみをつかんで、ぴしゃッと石段の根に叩きつけ、もう、あがきもしない容子をじっと見とどけてから、また、もどって来た。

「おふた方。……途方に暮れておいでのようだな。