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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁
――はて、的場のお集いでもあるのかと、近づいてみると、蔵の口から的場へかけて、驚くべき数量の武器やら甲冑が干しならべてあるのだった。
「ははあ、お風入れか」
老人は、眼をほそめた。治にいて乱を忘れず、の共感なのかもしれなかった。
が。――正季の姿は見えず、虫干しの莚には、数名の具足師や弦師らが、弓を調べ、具足のつづれなどを縫っている。
「これこれ。御舎弟は、どこにおいであられるな?」
その声に、莚の上から、ひょいと顔を上げたのは、先頃からここに滞在仕事をしていた住吉の具足師柳斎だった。
柳斎はすぐ腰を上げ、
「は。殿はお蔵の内です。お取次ぎしてまいりましょう」
と、駈けて行った。
土倉の口から、やがて、正季が顔を見せた。――その下へ、すすみ出て、恩智左近は、その白髪あたまを、うやうやしく下げて、いかにも爺らしい儀礼で言った。
「山田申楽の一同、今日、国もとへ立ち帰りました。これにて、雨乞い諸事の儀も、つつがなく終りましたわけ。――で、その帰途、御門前を通りかかりましたので、右をちょっと御報告までに」
「そうか。爺も、やれやれというところだな」
「ここはまた、たいそうお取り込みのようで」