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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁
そして、やがてまた、大内裏の深くにさえ、だ、だ、だっ……という跫音で。
「たいへんです。たった今、日野どのが」
「六波羅の検断所へ」
「無残や、曳かれまいてござりまする」
「可惜、可惜」
「さも、ご無念そうに……」
どの声もみな上わずッているのである。六位ノ蔵人や殿上の端たちで、それぞれが物蔭での目撃を、中殿の上達部へ、むらがり告げていたのであった。
すでに、上卿たちも、知ってはいた。
いち早く、左兵衛ノ府から、検断所兵の無法なる闖入を――お座近くまで報じて来ていたのはいうまでもない。だが、この日も中殿につめ合っていた、
花山院師賢
万里小路宣房、藤房
北畠具行
烏丸ノ成輔
そのほか、千種忠顕や坊門ノ清忠や、あまたな殿上すべても、
「や。宮門の内へか」
「理不尽な」
と、唇を噛んでいたのみで、とっさに、なすべきことも知らなかった。――いやむしろ、それを先駆に、いかなる暴挙がおこなわれて、自身たちへも、魔の手がせまるのではないかと予想される恐怖に戦がれていたものといえなくもない。
だから今、端々の仕え人から「闖入の検断所兵も早や俊基一名をからめ捕って立ち去りました」