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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁
おもなる者だけをいえば。
忠円を、越後ノ国へ。
円観は、奥州の結城入道へ、終身預けに。
いちばんの重罪は、文観僧正で、これは、平家のむかし俊寛がやられた鬼界ヶ島――つまり硫黄島流しときまった。
もっとも、この僧正の憎まれ方は一ト通りではない。六波羅から廻ってきた口書の心証も悪かったし、柳営の白洲でも、言いたいことを言ってのけ「……どうせ、首はないもの」としてか、他の高僧たちとはまるで違った諦めかたと面だましいの文観だった。
当然、幕府内では、
「いかに学識ありとも、かかる乱僧は生かしおくべきにあらず」
と死罪は決定的とみなされたが、急にそれは、死一等を減じられていた。
古典太平記によると、減刑の理由は、こうだとされている。
相模入道高時の夢に、数千の猿が、比叡のお使い猿として現われた。そこで高時は、これはゆゆしい高僧を無残な拷問にかけたための仏告ならんと大いに恐れて、さっそく、人をやって文観の起居を窺わせてみた。すると獄室の障子に、文観の影が、不動明王の像に映っていたという使者の言葉だったので、俄に、
「こは、凡人ならじ」
と、拷問もやめ、死罪も一等減じて、硫黄島流しに処したというのである。