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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁

青空文庫

「正中ノ変いらい、佐渡の本間入道の手に預けられ、その後、なんの沙汰も聞えねば、御存命でおられるには相違ない。……高氏の心底としては、すでに俊基朝臣のばあいでも、何とか助命の工夫はないかと、ひそかに心をくだいてみたが、口に出しては、この高氏の身の破滅……ついに空しゅう見てしまったがの……佐渡の資朝卿だけは、ぜひともここで助けておきたい」

「そのような御嘆願が、柳営の評定に、お採り上げになりましょうか」

「しょせん、しょせん」

高氏はつよく首を振って。

「おくびにも、そんな願意は、評定衆の中へなどは、申し出られん。それこそ、高氏もまた宮方へ同心かと睨まれるだけのことだ。――わしがそちへ命じるのは、いつの日か、わしが公然と宮方を名のる秋の用意にそなえておくだけのもの」

「では、この右馬介へ、その後図をなせとの仰せつけにござりますな」

「そうだ。……ここまで申したらもう分るだろう。佐渡へ渡って、密かに、本間入道の手にある資朝卿へ近づきまいらせ、そして、鎌倉より処刑の使いが行きつかぬさきに、資朝卿を助け出し、いずこへなりと、時節の来るまで身を潜めておれ」

「思いもよらぬ大任ですが、働き効いのあるお命じ。