輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁

青空文庫

どう裏切られるやもしれません」

「塩屋ノ磯には、ご用意があるのか」

「されば、かねがね妙宣寺の上人から、おさしずを受けており、また今夜のお諜し合せも伺っていましたので」

「さては、上人にも、蔭にあって、それほどまでの、お心添えであったるか」

海上は、大荒れだった。

当夜から朝へかけて。

三名を乗せた小舟は、怒濤のしぶきに、揉みに揉まれつつも、魔の口をのがれて、南の遠くへ没し去った。

天運だったというほかはない。三名をのせた小舟は、風浪の途中、便船に拾われ、難破もせずに、いちど越後柿崎の港へ寄り、やがて越前の敦賀へ上がった。

敦賀ノ津からは、陸路近江に入って、はや比良や比叡を望み、京の口へはもう一歩と、ほっとしたのが九月末。

途々聞けば。

この秋、改元ノ令が発せられ、元徳三年は、元弘の元年に変ったという。

なお、湖畔に沿って街道を南へ行くにしたがい、ただならぬ宿場宿場の騒がしさだった。

「何かあるんですかね?」

阿新の従者久米内が、行く行く人に訊いていたが、たれもはっきり返辞はしない。

しかし、坂本まで来ると、事態は、眼にも判った。

叡山一帯は今や物々しい戦備の中にあるらしい。