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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁
すら、ずいぶんその堂衆中には、この類の浪人が化けこんでいるという。
とにかく、そんな手輩が、この出屋敷にも、百人以上はいると見えたから、六波羅の捕吏といえども、たやすく、
「踏みつぶせ」
とも、出られなかった。
さりとて、この中と睨んでいる日野俊基を、やみやみ見のがす彼らでもない。押し問答も、数語で終った。
「面倒だ。土塀を越えろ。どこからでも躍りこんで、当の悪公卿を引ッ張り出せ」
乱闘が始まッた。
捕手方も無慮七、八十人はかぞえられた。だが内部の浪人群だけでなく、散所街の雑人たちはみな出屋敷の味方だったから、彼らはたちまちいたる所で、袋だたきの目にあった。
夜になった。石河原の散所街の上に、大きな月がのぼる。それが一そう地上の喧騒を不気味にしていた。
「まるで一揆だ」
捕吏の頭は、呟いた。
いちど、崩れた捕手方も、たった今、六波羅からの増援が着いたと聞いて、また気勢をもりかえしている。だが、それに対峙する出屋敷の浪人方へも、散所民の加勢が刻々とふえて、
「一匹も中に入れるな」
と、まるで小合戦の様相だった。
問題はもう、日野俊基の身を、渡す渡さぬ、などではない。