輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁
始終、そんな怯えに振り向かれていたのである。
なんとなれば。自分もまた、烏丸殿から、みかどを中心の公卿謀議が宮中にある由を、はしなく、聞かされていたからだ。
それを、世に洩らす惧れがあるとて、大判事章房の身は、狙われたものである。――さすれば当然、坊門殿、千種殿までも、やッ気となって、
「刺客の使命も果さず、あまっさえ、女を奪ッて逃げた烏丸どのの下こそ、章房以上に、生かしてはおけぬ奴」
と、密々、草の根も分けよと、叱咤されているに相違ない。――元成には、そう推理されて、暗澹となってくる。
こんなときの男女に、
死
は常に、魅力である。死と恋との、悩みの中における両種の物の攪拌は、一そう強い甘美な酒を醸成する。
それにまた、卯木の身には、西華門院にいた頃から、すでに妊娠の兆があった。親を自覚しては、なお死ねない。
みぞれの降る冬になった。
十二月の下旬。清水寺の下、三年坂での騒ぎだった。
「人が殺されてるぞッ」
「いや、たった今、刺されてそこへ、仆れたばかりだ」
「下手人は。下手人は?」
「わかるものか。殺した奴が、まごまごしているはずはない」
元成は、妻の卯木を、音羽の奥に隠し、その夕、食べ物など提げて帰って来た途中だった。