輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《竹柏記(ちくはくき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,798 字 · 91 頁
なんの用意もなく、男たちのいる部屋ではどうにもならなかった。孝之助は肚をきめて、廊下を奥のほうへゆき、空いている部屋をみつけて杉乃と共に入った。
「初めて客をするので、手順がうまくいかないらしいな、私が見ているから此処でおやり、鏡を借りて来ようか」
「いいえ、もう……」
杉乃は首を振りながら、帯へ手をやった。孝之助は半分あけた障子のところに、妻の姿を隠すようなかたちで立った。
ちょうどそのとき、まるで計ってでもいたように、若い侍女を伴れ、きらびやかに着飾った婦人が、奥のほうから出て来て、孝之助の前で立停った。間着は紅梅地に百花を色とりどりに染めたものだし、打掛は綸子らしい白地に唐扇と菊花ぢらしで、金糸の縫がある帯は桔梗色の地に唐草と蝶、これにも金糸の縫が入っていた。髪飾りも、濃い化粧も、着付けに劣らず派手だったが、彼女の容貌や態度は、これに際立てて豪奢な印象を与えていた。年は二十七八であろう、美貌というのではないが、眼鼻だちが大ぶりで、表情に富んでいるし、やや驕慢な、抑揚の強い声などに家老の娘という、育ちの良さよりも、放恣に馴れた無遠慮な感じが眼立った。