輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《竹柏記(ちくはくき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,798 字 · 91 頁
――なに者だろう。
こう思っていると、向うで不審そうにこちらを見た。そこで孝之助は自分の名を告げ、事情を簡単に述べた。
「おや、そうでございますか、それはようこそ」彼女はなめらかに云った、「――わたくし岡村の妻でございますの、吃驚なさいますでしょう」
上から見るような眼つきである。妻と聞いて、孝之助はむろん驚いた。彼女はさもあろうという表情をし、いかにも世馴れた調子でいたずらっぽく秘密めかして云った。
「いちど国許を見たかったんですの、それで岡村にねだりましてね、なかなかうんと云わなかったんですけど、とうとう説き伏せまして、男姿になってまいりましたの、ええずっと男の恰好でとおしましたわ」
こちらの困っている事情などは、聞きもしなかったというふうであった。そして、自分の云うことだけ云うと、目礼をして去っていった。
――これはいったいどういうわけだ。
孝之助は苛立ってきた。妻に済まない、この家へ来ただけでも、杉乃には辛いことだろう。そのうえこんな扱いを受けたのでは、おそらく耐え難いにちがいない。どんなに怒っていることか、そう思って殆んど途方にくれた。
やがて時刻になり、広間で酒宴が始まったが、主人側の態度は少しも変らなかった。