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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

みんな稽古を終わったところで、慰み半分にからかっているところだ。

「やい又平、貴様はこの城下で美しい娘が何人いるか知っているか」

「えっへへへへ一人は知っています」

「誰だ、どこの娘だ」

「こちらのお嬢さまでさあね」

門弟たちはどっと笑った。

「馬鹿でも椙江さまの美しいのは分かるとみえるな、――どうだ又平、貴様お嬢さまの婿君になる気はないか」

「でも……身分が違うから――」

「わっはっはっははは」

またしてもみんなは腹を抱えて笑う。

「こいつめ、身分が違うなどと本気になっているぞ。もし身分が違わなかったらどうする」

「違わなかったら……まあ止しましょう」

「どうして止すんだ」

「言うとまた皆さんが笑うから」

羞ずかしそうに顔を赤らめながら言うのを見ると、今度こそ堪らぬという様子で、門弟たちは腹を揉みながらひいひい笑い崩れた。――この有様を広縁から見ていた椙江は、庭へ下りると静かに近寄って来て、

「皆様は何をしています」

と声をかけた。一同はびっくりして、

「や、これは、お嬢さま」

「大勢で下郎を弄り物になさるなどと、見苦しいではありませんか。冗談も程になさらぬと、父上のお耳に入れまするぞ」