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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

――藩侯には憚りあれど決して貴殿を咎める筋はござらぬ。さ、お手を上げられい」

「ではあの、お赦し下さいまするか」

「貴殿ほどの人に伝えらるれば古中条流も本望でござる。道場へおいでなされい。土産代りに流儀の秘伝悉く御伝授仕ろう、いざ」

支度に立上がる主水の後ろ姿を、又次郎は感謝と悦びに眼をうるませながら見送る、――うしろから、椙江がそっと寄添うようにして、

「さ、道場へおいで遊ばしませ」

と言う。又次郎はすっくと立って、

「お嬢さま、今宵限りの下郎又平が、秘法伝授を受ける晴れの姿、どうぞあなたも御覧下さいませ、いざ――」

とばかりに振返る。半化けと罵られた又平の面は、生まれ変わったように輝いている――今こそ梅本又次郎。椙江は頬を染めながら、静かに道場の方へ案内に立った。

それから三日後。本望を達して加賀国へと旅立つ又次郎に、一人の美しいつれがあった。いうまでもなくそれは椙江であった。