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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

「お弓か、む、無念だ――」

「誰がこんな事を」

「村井、伝之丞」

「あッ――」

「摩耶谷の、抜け道の古図を奪って、木曾へ走った、きゃつ、――お弓! きゃつの行く先は、鹿追沢の砦だぞ、父の仇よりも、摩耶谷の掟を破った奸賊、父に代って、討取るのだ」

「はい、はい、わかりましたととさま」

「行け、早く、――鹿追沢の砦だぞ……」

それだけ言うのが精一杯だった。

今こそわかった。兵馬と五郎を射ったのも伝之丞だ、昨日岩窟を出たところで出会ったが、あの時もう知っていたに相違ない、――鹿追沢の武者たちが来て、抜け道の図さえ差出せば五千貫の侍大将にしてやるというのを聞き、かねてから山を下りたがっていた伝之丞は、父を斬って古図を盗み出し、また高山城の間者たる兵馬を射殺して、二つの手柄を土産に木曾方へ駆込んだのだ。

――卑怯者、あの裏切者※(感嘆符二つ、1-8-75)

お弓は眦を決して言った。

「ととさま、伝之丞はきっとお弓が討取って御覧に入れます。摩耶谷の掟は必ず守られます、見ていて――」

お弓は涙をふるって立つと、手早く納戸から伝家の鎧を取出して着け、長押の大薙刀を執って出る、――軒先に吊ってある人寄せの鐘を、力に任せて乱打した。