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そうもくちゅうぎょ
艸木虫魚
薄田 泣菫
線上閱讀薄田 泣菫《艸木虫魚(そうもくちゅうぎょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,254 字 · 226 頁
そんなことが度重るうちに、自分の身にうしろ暗いところのある雲水は、後々を気遣って、いつの間にか寺から姿を隠してしまった。甚斎は手を拍って喜んだ。
そのことが南天棒の耳に入ると、甚斎は方丈に呼び出された。他人のなかでは荒馬のように粗暴な甚斎も、和尚の前へ出ては猫のようにおとなしかった。和尚はいった。
「東馬、お前は雲水たちをいびり出したそうじゃな。乱暴にも程があるじゃないか。」
「はい。別に追出したというわけではありませんが……」甚斎は雄鶏のように昂然と胸を反らせた。「彼等から出て往きました。雲水にもあるまじき所業の多かった輩でしたから、あとに残ったものは、実際救われましたようなわけで……」
老和尚は相手の得意そうな顔をじろりと見返した。
「後に残ったものは救われたかも知れんが、出て往ったものは救われたじゃろうかな。」
「……」甚斎は壁に衝き当ったようにどぎまぎした。
「救われないかも知れませんが、それにしたって、あんな不行跡者は仕方がありません。」
「それはいかん。」和尚はこう言って、側の本箱から一冊の写本を取出した。そして紙に折目のついているところを繰り開けて、甚斎の鼻先に突きつけた。