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「ふんしょじだい」のしゅつげん

論理とその実践――組織論から図書館像へ――

中井 正一

線上閱讀中井 正一《論理とその実践――組織論から図書館像へ――(「ふんしょじだい」のしゅつげん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 57,021 字 · 120 頁

青空文庫

しかし、むしろヒロイックになって、その時の私の講義の出来栄えは、自分でも相当満足すべきものと思うものがあった。

館の横には太陽館という映画館がある。私の最も対象とした、帰還軍人、特攻クズレは白いマフラを巻いて群をなしてうろついている。それだのに私の講演は、閑古鳥が鳴きつづけた。その寒むざむとした思いは、今思い出しても腹の冷えるような思いであった。

市は私の図書館に電気を仲々つけてくれなかった。ついに私は十二月二十八日思い切ってポケットマネーで電気をつけ、早速希望音楽会を開いた。チャイコフスキーの「悲愴」とベートーベンの「第九」という、敗戦の年の暮を一層重く苦しくするものを敢えて選んだ。百名の青年男女が、ガラス窓の破れてソヨソヨ風の吹き透す会場で、皆外套襟巻すがたで聞き入った。第九の合唱がはじまるまで、人々は壊えはてし国の悲しさが、この部屋に凝集するかのような思いであった。そのかわり、「第九」の合唱となり「ああ、友よ」と遠い敗れ去ったドイツから、二百年の彼方シルレル、ベートーベンから呼びかけられたとき。皆、深く、頭をうなだれて、眼に涙をうかべさえしたものもあった。