輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁
なくなられた和田雄治さんの話であった。以前朝鮮で海流の試験をするために、何度か所々の岸から空壜を流してみたことがあったが、いつでも多くはこの津軽西岸の潟の口に近く、漂着する結果を見たということである。日本海周辺に住む民族の、船を扱う技術がまだ十分に発達しなかった大昔から、ここは自然に開けたる水陸出入の衝であった。ところが人間の智能は恐ろしいもので、わずかに木屑を焚くような汽動車が山を横ぎっても、それが十三潟の岸の林の木材を、陸で青森の方へ運び出すことになると、もう十三の浦へは一艘も船が来ぬようになってしまった。この海の口の荒いのは昔からのままだろうが、港の燈の火の舟人を招く力がしだいに弱く一つにはまた和船の船子までが烈しい労働をいやがり、日数を切りつめて上手に仕事を取る風になったためもあろう。
津軽を今の五郡に分けたのはいつころからか知らぬが、北津軽郡の南西の境は、確かに最初は十三潟の水戸口であったに相違ない。それが水筋の変化をへたと見えて、今では四、五町も隔たった砂浜の中に、何の付きもなく郡境の榜示杭が立っている。この辺はことにいつも強い風の当たる所で、砂除けに栽えられた黒松の林が、ほとんど成長している暇もなかったらしく見える。