輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁
人、何やらがやがやと話をして船を下りて行く。これがこの色の湊の十三の町の人とは、昔ならば誰が思おう。やがて今見てきた松林に隠れ、それから野菊の咲く砂山を越えて行く。その後姿はことに物哀れで、立小便などをして行く様子までが詩であった。
久しく渡頭に立ちつくして後に、自分たちも舟に乗って、荒い水戸口を南へ渡った。そうして雨あがりの水溜りを飛び越えながら、荒れたる町の様子を見てあるいた。五月もはや末であるのに、どの家も冬のままの大戸をおろし、雁木の下の通りを左右に覗いて見ても、一人も通る者がない。物売る店にも色どりになるような品物は少なく、町にはわずかの鶏が遊んでいるだけで、犬猫の影も見かけない。もうすでに荒れてしまったのである。
十三から木造の町の方へ行くには、屏風山下の路を四里余りも通るのである。左手に湖水とその岸の新田とを見下ろして、晴れたる夕日の影には快活なる風景である。ヤチワタまたはサルケと称して泥炭を掘り上げ、冬季の燃料に乾し貯えている村が多い。南受けの暖かい土地であるためか、この辺は対岸北津軽の山と違って、桜などはとくに散り、ところどころに老松がこまやかな樹蔭を作るような日の光であった。