輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁
なったという類の言い伝えも、土地によっては残っているのである。それからまたこの木の茂る所は、たいていは神の杜である。無論椿存在の奇異が、神を祀った原因であったとも言いうるが、とにかくに人とこの植物との関係は昨今でなく、また鳥などよりも親しみが深かったのである。
植物には榎や柳のごとく、庭木でないまでも里の木であって、山野に行けばかえってしだいに少なくなるものが稀れでない。これらを存在せしめるだけでも人間の意思であった。奥羽に向かってはその上に積極的に、若干の努力が加わっているかと思う。人が考えて移し試みなかったならば、椿などはとうてい雪国には入りえなかったろう。この細長い日本という島は、常にチューブのごとくまた心太の箱のごとく、ある力があって常に南方の文物を、北に向かって押し出していたのである。椿が稲や田芋と同じ程度に、人間生活との交渉の深いものでなかったということは、天然信仰の一向に研究せられぬこの国においては、まだまだ断言しうる者はないはずである。あるいはこれもまた隠れたる一つの史蹟記念物であって、単なる天然の記念物ではなかったかもしれぬのである。