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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁

青空文庫

それはいわゆる盛者必滅の理を説くには、少しまだ早過ぎた時代の事であった。座頭だからとて『平家』を語るのが本筋ときまったわけでもない。ただ彼らの間には流派の軋轢があって、早く中央の形勝を占めた者が、官府の力を挟んで号令しようとしたばかりであった。近世のいわゆる当道を否認した盲群の中には、生まれた村々に黙って引っ込んでいた者と、たっておおいにこれと抗争した者とがあった。宝暦前後の西国の大訴訟は『瞽幻書』と題する記録が残っている。長門と筑前の盲人の頭目には、二、三の刑戮に触れた者さえあったが、土地旧来の慣習はどこまでも彼らを援護したのみならず、なお背後には天台本山の、尻押というものが実はあった。全体にこの方面には、醜恠なる蔭の事情がなかなか多かったように思う。比叡山のごときは最後まで利権恢復の望みを絶たず、現に維新の際にも人を東国に派して、新たな盲人組織を試みた形跡があるが、差当りの入用にはその点まで説くには及ばぬと思うから省略する。

九州などの盲僧と称する者は、もとことごとく一寺の住職であって、しかも琵琶弾きはその主業であった。彼らが旅行の習慣を利用して、これを細作密偵に使役したものらしく、暴露して敵に殺されなかった者は帰ってから優遇せられ、島津氏などでは鹿児島と日向の某地に、随分いかめしい盲僧派の本寺があっ