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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁

青空文庫

を育ててきた原因のあったことを見出すであろう。現に神さまがそう仰せられた、何某の霊が出てその通り語ったという真実が、そう短い期間には覆えさるべきものではなかったからである。

しかし結局は意識の有無にかかわらず、もと人間の想像力に根を差した以上は、自由にまた美しく成長せねばならなかった。そういつまでも古い形だけを、守っているわけにも行かず、第一には聴く側の要求が、時とともに変化してこれを動かさずには止まなかった。奥州には衣川の悲劇以外に、また前九後三の合戦談があった。『義経記』の中では金売吉次が、若き貴公子に向って長々とこれを語ること、あたかも舞の本の「烏帽子折」において、山路の草苅る夜の笛の物語を、遊女に試みさせているのと同じであった。それからなお行けば悪路王大竹丸の退治、三代田村の勇猛談などもこれを信ぜんとする人々と、もうこれを芸術として楽しもうとする者と、相交錯していたのである。中央の歴史と交渉のないものでは、胆沢郡には掃部長者の物語、長者の妻が後に池の大蛇となり、松浦小夜姫を人柱に立てようとした話、それから気仙高田の武日長者、姉は旅の空に世を早うして、いたずらに姉羽の松の名を留め、妹は采女となって京に上ったというの類、今はことごとく物の哀れを聞くの人の想像に譲って、実際そのようなできごとがあっても