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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁

青空文庫

十四日の夕方になると、ここでも胆沢あたりとよく似たカセギドリがやってくる。春田打つ男の人形を作って、これを盆に載せて手に持った少年が、

春の初めにかせぎとりが参りた

といいながら入ってきて、「どちの方から、明きの方から」という問答の後に、餅などをもらって帰って行った。関東以西の柊の枝に鰯の頭は、節分の夜の行事となっているが、ここではこの十四日の年越に、魚の鰭、魚の皮などをこがして餅とともに串に刺し、すべての入口、窓という窓に挿んで、それをやはりまたヤラクサと呼んでいた。つまり臭気ある物をもって、鬼を追い返そうという目的に出たのである。八戸などでいうエンブリを、この辺では仙台などと同じに田植といっている。十五、六日の二日、幾群れともなく廻ってきた。を摺る男の名を藤九郎といい、謡う歌は田植唄であった。

正月のごいわいに

松の葉を手に取り持ちて、祝うなるものかな

これは誰がほうたんだ

えもとさえもがほうたんだ

一本植えればせんぼになる

かいとの早稲の種かな、ほい/\

と唱えてそのエンブリを摺った。松前でゴイハイ棒といったのも、たぶんは同じ田植舞が、かの地に移されていたものであった。