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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁

青空文庫

次の寛政十年の日記かと思う「津軽のつと」には、また小湊からわずか離れた童子という山村の正月が記してある。真澄の宿った家は農家であって、他には見なかったいろいろの慣行が残っていた。それをこの日記は細密に画にしてある。九日にはまた小湊に出かけて、新たにいろいろの見聞を添えた他に、座頭イタコの物言いや山家人の酔態、村の女の杓子舞の歌を手記するなど、心ある観察が多かった。前に引用した「奥の手振」とともに、真澄遺稿の最も価値多き巻である。彼はこの後三年ほどはなお津軽にいたが、正月の日記は不幸にして伝わっていない。享和元年の冬の初めに、最後に深浦を立って海づたいに秋田に入り、次の年の正月は久保田の城下にいた。その翌年の享和三年の春は、阿仁から出てきて北秋田郡の大滝の温泉にいた。その折の日記は「薄の出湯」であって、これにも湯の町へ出てくるいろいろの物売、伎芸の徒の歌詞が多く載せてある。十四日には十二所の町に行って鎌倉焼きの式を見物した。この晩から小正月の年越が改めてくり返され、若水年男の作法、臼鍋農具の年取りなど、厳重なることは元旦に劣らなかった。二十日は目出しの祝といって、その前後に若者娘たちの寄合があった。