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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁

青空文庫

しかし、法水の言を、神意審問会の異変と対照してみると、あるいは、死体蝋燭の燭火をうけた乾板が、ダンネベルグ夫人に算哲の幻像を見せて、意識を奪ったのではないか。――と云うような幽玄きわまる暗示が、しだいに濃厚となってくるけれども、その矢先思いがけなく、それをやや具体的に仄めかして、法水は立ち上った。

「しかし、これでいよいよ、神意審問会の再現が切実な問題になってきたよ。さて、裏庭へ行って、この見取図に書いてある二条の足跡を調べることにするかな」

ところが、その途中通りすがりに、階下の図書室の前まで来ると、法水は釘付けされたように立ち止ってしまった。熊城は時計を眺めて、

「四時二十分――もうそろそろ、足許が分らなくなってくるぜ。言語学の蔵書なら後でもいいだろう」

「いや、鎮魂楽の原譜を見るのさ」と法水はキッパリ云い切って、他の二人を面喰わせてしまった。しかしそれで、先刻の演奏中終止符近くになって、二つの提琴が弱音器をつけた――そのいかにも楽想を無視している不可解な点に、法水が強い執着を持っているのが判った。彼は背後で、把手を廻しながら、続いて云った。

「熊城君、算哲という人物は、実に偉大な象徴派詩人じゃないか。