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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Read 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 337,181 characters · 676 screens

Aozora Bunko

『小野寺、中村、潮田などの連中は、玄渓の家で密会しているのじゃないか』

『それもあろうが、近頃は、洛北の瑞光院の境内にある拾翠庵を借りうけて、歌俳諧の集まりのように見せかけ、時折、そこで評議をしているらしい』

『拾翠庵――あの浅野稲荷の隣地だな』

『そうだ、浅野家の祖先が、稲荷を祠り、寺領も寄附しておるので、浅野稲荷とよんでおる、あのすぐ側だから、会合のある折は、稲荷詣りを装ってゆけば近づけよう』

『近いうちに、集まりのある様子はないか』

『先月中旬、大高源吾と、原惣右衛門の二人が、江戸表を立って、途中、伊勢の大廟に参詣し、原は大阪に、大高は京都に、各※(二の字点、1-2-22)家を借りて住んでおる。――それ以来、山科でも、拾翠庵でも、頻りと会合があった。どうやら、ここのところ、仲間同士で異論があって、ごたついているようにも思える』

『それはよい按配だ。しかし、油断はできないぞ』

『もとよりのこと』

『普請はどうだ――山科の』

『やっておるよ』

『われわれの眼を偽瞞する大石の策略だろう』

『――と、おれも、考えているのだが、時々、そうでないのかと思われる事がある。おそろしく、入念だ。