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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Read 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 337,181 characters · 676 screens
両家老
その二人を遣れば――と、先ず安心したように見送ってから、
『四人とも、御用部屋まで、参ってくれい』
と促して、席を立った。
両家老
藩札台帳だの、御金蔵台帳だの、また浜方御貸金の控えだの、無数の帳簿が、内蔵助のまえに積まれた。
『大野氏にも、お立会いを願いたい』
九郎兵衛は、黙然と、帳簿の山を、見ていたが、
『あわただしく、何を召されようというのか』
『一刻も捨て措かれますまい。藩札の引換を行います』
『ふ……藩札だけの額の金があろうかしらて』
『あろうはずはない』
札座横目の勝田新左衛門が、机をすえて、厚ぼったい帳面を繰り、要所に折目を入れては、内蔵助のわきへ積んでいた。
勘定奉行の岡島八十右衛門は、杉野、前原の二人を連れて、台帳を手に、金蔵へ入って行ったが、やがて、用部屋へもどって来て、
『書きあげて参りました』
と調べ書を見ながら、
『藩の御在金は、すべてで七千両ほどにござります。――そして藩札の出札高は、今日までに一万二千余両にのぼって居ります故、およそ、この差額、五千両の見当にあたりまする』
『ふウむ……』
九郎兵衛はそばから呻いて――
『一万二千両の出札高に、在金は七千両、それでは、何うにも相なるまい』