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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Read 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 337,181 characters · 676 screens
この考えは揺がなかった。そして、自分のみでなく、他の四十五名の者、一人として、その最後の完成を為すまで、洩れてはならないと思うのである。
然し今は、努力はしない、為たとて何にもならないからだ。庭面へは春風が訪れて来ている、彼は心を春風の中に遊ばせていた。
そして唯、
(一日も早く――)
と、その日を待っているだけだった。
大慈悲
松の内が過ぎると、「赤穂浪人御処置」の問題は、俄然幕議にも輿論にも再燃して来て、世人は又、助命論と、断罪論のふたつに分れて、論争に熱してきた。
評定所の十四人衆から、閣老へ宛てて、連名で提出した意見書は、
「浪士助命論」を熱言していた。その要旨は、
(――彼等の挙は、義挙である。君臣の美徳を極致に実践したもので、これに死を与えることは、道徳に死を与えるも同じである。又、彼等の行動は、御条目――武家諸法度の作法を、一点も紊してはいない。だから、徒党の暴挙とはいわれない)
これは、民間の輿論をも代表しているといっていい。いや、将軍家の綱吉すら、御同意らしいと聞えている。
だが、強硬な反対論は、荻生徂徠の、
(法の尊厳は、寸毫犯すべからず。