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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Read 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) by 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 84,829 characters · 169 screens
不安な一夜
流れついた岸辺の、ジャングルの中に天幕を張ると、枯枝を集めて、まず火を焚いた。――投槍を使った以上、人間には相違なかった。火を焚くことは、敵に居所を知らせてやるようなものである。だが一方では、獲物をあさっている飢えた猛獣を防がねばならなかった。
謙一が、外を見張ることにして、英夫は、クラパの傷の手当を引受け、祥子は食事を支度した。
「ダイヤの一族です、畜生! やつらは世の中の変ったことを何にも知らないでいるのだ」
クラパは歯ぎしりをしてくやしがった。かなりの深傷だが、クラパはじっとしていなかった。むりやりに天幕の中に寝かすと、ようやく観念したものか、眠ったようにじっとしていた。
「酋長のいっていた、ダイヤ族だとすると、いつ襲って来るかわかりませんね」
「なあに、やつらは槍ぐらいなもので武器を持たないから、大した心配もいらないさ」
謙一はこともなげにいって、ごろりと焚火の側に横たわった。
「お前たちは、ぐっすり眠っておくがいい、兄さんが万事引受けたから」
「いや、僕、兄さんの眠る間代っていますよ」
「じゃあ、あたしと英夫さんが先におきていますから、お兄さんが、すこし休まれるといいわ」