Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

Read 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) by 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 84,829 characters · 169 screens

Aozora Bunko

クラパの身代り

親切な酋長が、まごころをこめて、止めるのを振り切るように、謙一は途中まで、ダイヤ族の屈強な若者に、丸木舟を漕いでもらうことにして、翌朝早く、部落の桟橋をはなれた。

クラパの身代り

河幅はだんだん狭く、流れはだんだん急になり、鬱蒼と生い茂ったジャングルの木の根や蔦葛が、ともすれば、岸を伝って行く丸木舟の邪魔をしがちであった。

枯れた樹の根や、草むらに、じっと眠ったように横たわっている鰐が、不意に、ばしゃんばしゃんと水煙をあげて、とびかかって来ることがあった。かっと、大きな口をあけてしつっこく舟のまわりを去らない群もいた。

暑い陽ざかり、スコールのほか静けさを破る何ものもないジャングルに、うつくしい声の鳥が鳴き、水鳥に背中の蛭をとらしている鰐が、ものうそうに見送っていることもあった。

そうかと思うと、嵐のように樹々の枝を、けたたましく啼き騒ぐ猿の大群が、丸木舟をめがけて雨霰のように木の実を投げつけることもある。

ばりばりと、ジャングルの枝が裂ける音がしたかと思うと、大きな象の背中が二つ三つ砂山のように動いて行くことがあった。

しゅっしゅっと、不気味な音をたてて、十メートルもあるかと思われる、錦蛇が這い出して行くこともあった。