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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Read 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 73,583 characters · 149 screens
「兵馬さま、いけません」
と駆寄った。
「おお! お弓どのですか」
「木曾の侍たちがあなたを捜しに来ています、早く中へお入り下さいませ」
「なに木曾の者が」
兵馬はがばと身を起こしたが、
「や――」
と森の方を見て低く叫んだ。――お弓は助け起こそうとしながら、
「何ですの?」
「いまあの森の入口に人がいたように思ったのです、眼の誤りかも知れないが……」
「見て来ますわ」
お弓は岩を廻って、茨の茂みを伝いながら森の方へ忍び寄って行った。――しかし、油断なくずっと捜したけれど、どこにも人のいる気配はなかった。
「大丈夫ですわ、誰もおりは致しません」
「ではやはりなにか見違えたのでしょう」
お弓は兵馬を岩窟の中へ助け入れながら、昨日の木曾武者と父との問答をくわしく語った。――兵馬は頷きながら聞いていたが、
「そうですか、それではここにも永くお世話になってはいられませんな」
「いえ大丈夫ですわ、ここは村の者でも滅多に来ない場所ですから、注意さえしていらっしゃれば決して御心配はありません」
「いやそれではないのです」
兵馬はきっと眼をあげて、
「木曾の者がここまで入込んで来るところを見ると、たしかに敵は先手を打って合戦を仕かける計略です、――戦いの始まらぬ前に、どうにかしてお城へ報告をしなければ、折角の苦心も水の泡だし合戦も不利になる、…