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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Read 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 73,583 characters · 149 screens
八
「さてさてその方は愚か者だな、かような下手細工をしてあっぱれ越前の眼を免れる気か、――島津家重役へ礼金として贈ったとは偽り、実は一万両の金子はその方が盗み取ったのであろう」
「め、滅相もない仰せ……」
「まだある、宋朝の冑、紛失したと申すが、それもその方がいずれかへ隠したはずだ」
「け、決して左様な」
「言うな藤兵衛、これは初めよりその方が企んだ仕事だ、和泉屋の財産を横領するため、島津家用人と結托なし、塵払いのため預かった冑をその方がわざと取隠し、治兵衛を島津家へ押籠めにしたうえ、留守のあいだに和泉屋の財産を盗もうと謀ったのだ。――越前の眼で見れば明々白々、それに相違あるまい、どうだ」
八
「恐れながら」藤兵衛は必死になって、
「決して左様な事はございませぬ、第一私に宋朝の冑をどう取隠す事が出来ましょうや、すでに家中隈なく捜しましてもみつからず、床下屋根裏までも手を尽くして……」
「まだ場所が残っている」
再び仁王像が言った。――人々は殴られたように振返った、仁王像は続けて、
「津田直記の別宅、向島の家の庭に荒神杉という古い木がある、その洞の中を捜してみるがいい、冑はそこにある」