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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens

Aozora Bunko

八

平次はこんな馬鹿なことを言いますが、もう、笑う者もありません。

「久因重ねて輪り下るは、――輪を重ぬるの下と読むのだ、それ」

平次の指す下には、古い石臼が二つ、半分は土に埋まって藪の中に捨ててあったのです。

「八、その臼を起して見るがいい。その下に古い樋か何かあるだろう」

平次の言葉を待つまでもなく、石臼の下には一枚板があって、それを挙げると、その下は大きな木の暗渠――昔は坂上の水を引いたろうと思うようなのが現れました。

「黄金未だ渠を出ず――その中に五千両なかったら、――八、どうしよう、首をやるのは痛いが、不味い酒ぐらいは買うぜ」

平次の言葉が終らぬうちに、

「あったッ」

ガラッ八は歓声を挙げました。暗渠の中には千両箱が五つ、いや六つ、七つまで、累々と押込んであるではありませんか。

八

「親分、――敵は?」

お常は千両箱の山には目もくれずに、平次の次の言葉を待ちました。恐ろしい緊張が水のように多勢の背筋を流れます。

「二人を殺したのは、六十三番凶の神籤を持って、明神前の卜者へその意を解いてもらいに行った奴――」

平次の言葉が終らぬうちに、提灯が一つ宙に飛びました。