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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens
六
「俺はそう思わないよ、娘は正直だ、口で言わなくたって、顔色が物を言う」
「なるほどね、――ところで親分、この窓から帯でも下げて、男を引上げる事がむつかしいでしょうか」
「誰が」
「お清さんか、お浜だ」
「それを勘次郎が黙って見ているのか」
「でも、納屋の二階から庖丁を投げるよりは確かですぜ」
「下らない事を言う」
二人はそれっきり下へ降りて行きました。
六
銭形平次はガラッ八を伴れて、それっきり引揚げ、二三日は様子を見る気でおりました。後は小網町の仙太と、その子分どもが詰め切って、鵜の目鷹の目で見張っております。
小網町の仙太は大童でした。勘次郎が昔関係した女と、その女達を繞る男を、虱潰しに挙げましたが、なにぶん古いことで、本人達が勘次郎の存在を忘れているのと、お清が思いの外確り者で、近頃すっかり堅くなっていたので、この方面には何の手掛りもなかったのです。
「親分、妙なことを聞込みましたよ」
ガラッ八がそう言ってきたのはそれから四五日経ってからでした。
「何だ、八」
「吉三郎が十四日に暇を取って帰るそうですよ」
「十四日とはどういうわけだ、出代り季節じゃあるまい」
「田舎の小正月に間に合せるんですって」