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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens
四
「ヘエ――」
「綱吉は何を履いていた」
「駒下駄ですよ」
「昨夜は少し降りそうだったな――、その駒下駄はどこにあったか、知ってるかい」
「ええと、こうでしたよ。左の方は脱いで、右の方は履いたままで――」
「脱いだ左の方は、どの辺にあったか、知ってるだろうな」
「すぐ死体の側の下水の縁でしたよ」
「もう一つ、綱吉は刃物を持ってたか、いなかったか」
「腹巻に匕首を呑んでいるようでした」
「それに手を掛けた様子はなかったのか」
「匕首を抜く暇もなかったんでしょうね」
「よっぽど不意にやられたと見えるな――」
平次は、少し三白眼に庇を睨んで、若々しい顔を挙げました。
「親分」
とガラッ八。
「待て待て、いよいよ現場へ行くのは無駄らしいよ、――ところで、お前はお常を知ってるかい」
「知らないこともありません」
「じゃこれから、お常の茶屋へ出かけよう。案内を頼むよ」
「姐さんへ黙って行っていいんですか」
「馬鹿」
これも両国の水茶屋に居たお静は、この時もう平次の女房になっていたのでした。
四
露月町の棟梁辰五郎は、その日のうちに友次郎の手に挙げられました。係りの吟味方は、与力笹野新三郎、若くて、啖呵が切れて、頭が良くて、その頃江戸中の人気を背負って立った人物、大概の罪人はここで荒ころしをして、町奉行へ調べ書と一緒に送ります。