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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens

Aozora Bunko

「そこまでは行かねえ、が、あのお勢がどうかしたんだ」

「…………」

「妹の家へ入り込んだはいいが、近頃は恐ろしく若作りで妹の三十五日も済まないうちから、町内の若い者を集めて、浮れ切っているんだ」

「フーム」

「日髪日化粧で、どう見たって二十二三だ。大変な化物だぜ、あの女は」

「それがどうしたんだ、お前が口説かれでもしたと言うのか」

「へッ、口説きもどうもしねえが、あんまり色っぽいんで、気味が悪くて、長居は出来ねえ」

「たいそう気が弱いじゃないか」

「騙されると思って、親分も一度行ってみなさるがいい、請合二三日はボーッとするから」

「それは面白かろう、見ぬは末代の恥だ、すぐ行くとしようか」

「お静さんが気を悪くしなきゃアいいが」

「何をつまらねえ」

二人はもう日が暮れたというのに、麹町四丁目までやって来ました。

「お勢さん、親分を伴れて来たぜ」

案内役のガラッ八は、顎から手を外して、格子を開けます。

「あら親分、その後はすっかり御見限りねえ、でもまアよく」

といった調子、荒い浴衣の袖を翻して、ニッコリすると、その辺じゅう桃色の媚が撒き散らされて、何もかも匂いそうです。

「これは驚いた」