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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens
「…………」
平次は黙然として考えました。
「明朝までに御墨付が返らなければ、生きてお前に逢うのもこれ限りだ、――その娘とやらを拷問にかけても、御墨付の在処を訊してくれ」
少し乱暴なようですが、事件を表沙汰にして、町奉行所へ持って行かれないとすると、これも一つの考えようでしょう。
「宜しゅうございます殿様、お庭先を拝借して、あの娘を拷問にかけましょう。どうぞお立ち合い下さいまし」
平次は退って娘を庭先に引出しました。赤井左門から命令があったものか、庭先には高張提灯をかかげ、番手桶を積み荒筵を敷き、俄か事ながらすべてお白洲そのままに作って、往来に向いた庭木戸を真一文字に開かせました。
表沙汰になるのを極端に嫌いながら、これはまた何とした事でしょう。もっとも町内へは屋敷へ女賊が入って、大事の品を盗んで隠したので、その在処を白状させるためという触れ込み。退屈し切っていた、山の手特有の有閑階級人は、「そいつは面白い」と庭木戸から一パイに雪崩れ込みました。二千八百石取の旗本のすることで、その上有名な御用聞の銭形の平次が付いているのですから、こんな不法の折檻をとがめ立てる人もありません。