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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens

Aozora Bunko

「そんな物が、――あの、私の荷物の中に。とんでもない、親分さん」

「勘太郎を殺して、この巾着を奪った者が、三日前に隠居を絞め殺したのさ」

「親分、私は、私は」

和助は追い詰められた狐のようでした。

「とにかく、当分家を出ちゃならねえ。一足でも戸口を出たが最後、縛られるものと思ってくれ」

「ヘエ――」

平次は打萎れて引下がる和助の後ろ姿を見ております。

「まるで波の上でも歩くようだね、親分」

ガラッ八はそれを可笑しがります。

「あの男は日本一の臆病者でなきゃ、大変な曲者だ」

「なぜ縛らないんで、親分」

「巾着があの男の荷物の中にあったからよ。何が入っていたか知らないが、お守りと迷子札だけ残して、中を抜いた巾着を、自分の荷物の中へ隠す馬鹿もないだろう」

「その迷子札か巾着に仕掛けがありませんか」

「手前もたいそう物の考えようが細かくなったぜ。だがな八、それにしても、二た刻前に、子供を殺して奪った品を、始末の出来ないはずはあるまい。俺達が来る前に、どこへでも隠せたはずだ」

「なるほどね」

「そんな事に感心する奴があるものか、お次は久蔵だ」

「いやな坊主頭だね、親分」

そんな事を言う二人の前へ、久蔵は臆面もない額を、平手でツルリと撫で上げておりました。