Japanese reading practice

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Read 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 262,100 characters · 523 screens

Aozora Bunko

と、番士船手の人々は、そこを去って各※(二の字点、1-2-22)の持場へ分れて行った。

その人々のいなくなるのを見澄ますと、啓之助はヒラリと陸へ上がってきた。なお念入りに前後を見廻し、足早に飛んできたのはすぐ前の綱倉。

「宅助、宅助」

戸を叩くと、用心深く四、五寸開いて、

「おお、旦那でしたか」

「どうしたお米は?」忙しく中へ入って見廻したが、少し色をなして、

「見えないではないか」

「あわてちゃいけませんぜ、夜半になったら卍丸へ運びこむから、支度をしておけと旦那がおっしゃったんで、たッた今女をこの長櫃へ押し込んでいたところでさ」と、仲間の宅助、意味あり気に側の長櫃を指さした。

「ア、それがにわかの模様変えでな」

「えッ、手違いに?」

「なにさ、こっちにとればなおさら都合のいい話。剣山へ送る者があるので、急に脇船の方を承って行くことになった」

「おお、そいつア旦那、お誂えじゃありませんか」

「されば、今すぐに俵一八郎と一緒に積み込むつもり、その長櫃をあれまで持ちだしてくれと申すのじゃ」

「オット合点、と言いてえが、旦那、こいつア一人じゃ持ち切れませんや」

「よし、身どもも手を貸そう」