Japanese reading practice

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Read 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 262,100 characters · 523 screens

Aozora Bunko

見返り柳

「こわいおじさん」

「泥棒ずきん」

「ずきん流行はロクでもない」

「ないしょ話はみな聞いた」

「いいこと聞いた、二度聞いた」

「三度目にゃア忘アすれた」

「四たび目にゃ言いつけた――」

かわりばんこに歌いつづけて、ドンドン向うへ行ってしまった。

見返り柳

目明しの万吉は、その後もたえず駿河台の焼け跡に立ち廻っていた。

暮から正月の二日をおいて、明けて――明和三年となった四日目のこと。

鉄砲笊をかつがずに、素のままの姿で、今日も万吉が例の焼け跡へ来てみると、そこに果たして、彼がこの間うちから心待ちにしていた消息があった。

人目につかぬ石塀の隅へ、消し炭で書いてあった文字である。それは、法月弦之丞が、自分へ意思を伝えようとしたものであるのはあきらかであった。

==予は江戸に着いて、お千絵どのの居所を求めつつあり。また予をたずねんとする者は、下谷一月寺、普化宗関東支配所にて問われなば知れん==。としてある。「うむ。弦之丞様も、やっぱりこっちで察していた通り、江戸へ着いて迷っているのだ」

万吉は、それを読むとすぐに引っ返してきた。

かれの心は、一刻も早く、一月寺の支配所へ急いでいたが、大火の晩以来、万吉も妻恋の家へ身を寄せていたので、とにかく、お綱にもこのよろこびを早く知らしてやる義務があると思った。