Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Read 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 262,100 characters · 523 screens

Aozora Bunko

目安箱

「ああ、とても大変な血だ……」

やがて、一角を肩にかけて歩きだした半次は、顔をしかめて襟首を撫でた。周馬とお十夜は苦りきッてその後につき、手負いの一角は、時折、ウーム、ウーム、と虫の息をもらしていた。

目安箱

その夜、法月弦之丞が外へでるとまもなく、一月寺の宿院へ、二人の客があった。

どう考えても、今夜のことは不安で、今も炉にいらいらとした万吉が、軽く叩く戸の音に立ち上がってみると、忍びやかに入ってきた深編笠の侍とのしお頭巾の若い女。

女は、心待ちにしていたお綱、ということが、万吉にも一目で分ったが、はてな? 連れの侍は何者だろう――と膝をついて下から仰ぐと、訪れた常木鴻山。

「突然まいって、さだめしびっくりしたであろう」と笠をぬいでお綱に渡す。

「やッ、あなたは!」といったきり万吉はただあきれ顔だ。そうだろう、天満組三人のうち、俵一八郎は阿波屋敷に捕えられ、鴻山はぬきや屋敷を去って以来、紀州の奥にでも隠れているのだろうという噂をきいたままで、今は、実際のもくろみにかかって働いているのは、自分一人と思っていたところだ。

それさえあるに、その鴻山が、見返りお綱と一緒に、突然、この宿房へ訪ねてきたのだから、かれの驚愕はもっともだ。