Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Read 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 38,941 characters · 79 screens

Aozora Bunko

嘘だと思うなら見るがいい」

こう云い乍ら香具師は、地面に置いてある土瓶を取り上げ、模型屋敷の小川の中へ、トロトロと水を注ぎ込んだ。張ボテではあるが堅牢だと見えて、滲みも滴りもしなかった。

「よいかお立合い、この水がだ、石一つの動かし加減で、変化するから面白い」

こう云い乍ら、模型屋敷の小川の一所に飛び出している、小さい岩型の痣の頭を、香具師は指先でチョイと押した。と、洵に不思議にも、水が瞬間に無くなって了った。と思う間もあらばこそ、屋敷の四方から其水が、沸々盛り上って湧き出して来た。そうして見る見る屋敷の四方をグルリとばかりに取り巻いた。門の影や土塀の影や、木立の影がその水面に、逆に映っている態は、小さい小さい竜宮城が、現出したとしか思われない。

「さて大水が現れて屋敷の周囲を取り巻いた。百人の敵が襲って来ても、悠に二日は防ぐことが出来る。次に此処に竹藪がある。これが又非常に重大な武器だ。ひっ削いで火に燻らせ、油壺の中へザンブリと入れたら、それで百本でも二百本でも、急拵えの竹槍が出来る。が、これは真竹に限る。八九の竹や漢竹では、鳥渡そういう用には立たねえ。