Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

やまうらきよまろ

山浦清麿

吉川 英治

Read 山浦清麿 (やまうらきよまろ) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 45,573 characters · 91 screens

Aozora Bunko

又、家中の北沢某も又、

(自分も、試してみたが、やはり折れた――)

と、云ったとか、云わないとかで、揉め事があったりして、直胤一門は、とにかく、噂に対して、激怒していた。

そこで、公開して見せるとなった、今朝の長国寺の「試し」である。折れるか、折れないか、自分等の作刀を試す会だとは称っているが、その目標が、無名鍛冶の山浦真雄にあることはいう迄もない。――途々、嘉兵衛の口から、そんな事情を聞かされると、環は、

(これは、兄の名誉ばかりではないが)

と、遽に心配になった。

元々、兄は刀鍛冶ではないのだ。山家の一郷士に過ぎない。性来、刀を鍛つのが好きで、人に頼まれるまま鍛って来たが、まだその道の専門家とは決していえる腕ではない。

その兄の鍛刀と――一世に名匠の聞えの高い水心子正秀の高弟直胤の刀と――何うして較べ物になろう。

(大丈夫)

と、嘉兵衛は思いこんでいるが、環は内心、案じずにいられなかった。少年の頃、兄の対う鎚を打ったことのある環には、兄の腕が、たとえ其後、上達しているにせよ、どの程度か、分っていた。

『嘉兵衛様、その「試し」の場所へ、私もひとつ、お連れ下さるわけには、行かないでしょうか』