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やまうらきよまろ
山浦清麿
吉川 英治
Read 山浦清麿 (やまうらきよまろ) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 45,573 characters · 91 screens
と呶鳴って、立会い人の方へ渡して、引き退がった。
陣笠、鹿角、古兜。
と次々に、べつな刀を持って出て、べつな斬り人が試みた。
皆、直胤の刀だった。
そして、かなりな斬れ味を見せ、二太刀、三太刀でも斬れなかった刀でも、折れはしなかった。
直胤の悪評は、訂正された。
まだ、鉄杖を斬るとか、鎧の鉄銅を斬るとか、だいぶ項目が残っていたが、
『そう時刻があるまい。この辺で、ちと他の刀を試しては』
と、立会い人から、当日の主唱者であり、また今まで試された力の作者――箕兵衛直胤へ、相談があった。
直胤は五十四、五歳の老人だった。勿論、熱心に眼を光らせて、床几に掛けて見ていた。
『いかがで御座ろう。――もうこれくらい試せば、もはや、あらぬ世評が、貴公を中傷する為の嘘であったという事は、誰も承認したであろうと存じますが』
立会い人が、そう云うと、直胤は、磊落そうに笑顔をくずして、
『いや、御苦労でござった。わしは最初から、何も大して気には懸けておらんがの。……弟子共さえ、承知なら』
『では、近頃、頻りと名の聞える、山浦真雄の作りを、四、五本ここで試しますが、御異存はございますまいな』