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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Read 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 257,350 characters · 507 screens
明石のカワカムロ
私の郷里の方ではガタロウ(河太郎)とよぶが、この区域は存外広くない。大阪あたりでも通用しないことはないが、例の『東海道中膝栗毛』が出たころから、河太郎という名称に、差障りが出来たらしい。大阪に河内屋太郎兵衛という豪奢な者が出て、通称河太郎といっていたので、それに気兼ねをしたため、ガタロウといいにくくなったものであろう。京都あたりでは何といっていたか、やはりガタロウといっていたのではないかと思う。
明石のカワカムロ
京都はガタロウで通用するとして、丹波の由良川あたりでは何というか。中部地方では河童の系統でカワランベ、カラランベというのが多く、九州では少し発音を違えてガラッパ、またはカワッパ、カワトノなどと呼ぶ所が多い。
面白いことに、東西の中間にエンコというのが入りまじっている。すなわち瀬戸内海の両側、山陰、山陽、四国ではエンコという所がある。猿の字をあてているが、淵猴とも書くことがある。
その他に、カワゴ(川子)という所がある。エンコを使わない所ではゴウゴとか、カワゴとかいって、これが大分多く行われている。カワゴは河童と同じで、童が児になっただけの違いである。