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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Read 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 257,350 characters · 507 screens
日本人の渡来
そして日本人の信仰と米作とは切離して考えられないから、やはり大部分は南の米作地帯から米作をもって来たのだろうと思われる。ただ先祖から稲作をしていた人間が、いつも一つ所にじっとして耕作をしていたとは限らない。例えばシナの沿岸地帯など、東夷と船で往来していたというが、夷という字は「たいらか」とも読むから、東方に穏やかな民族がいたとも解釈せられる。同じ沿岸地帯には、百越とか諸越とか言われたいろいろの未開族がいたことが知られている。そしてわれわれが後々「もろこし」といって、唐土の字をあてているが、じつは諸越又は百越と書いて「もろこし」と読んでいたのかもしれない。
私も時が許せば、シナの歴史を最近の研究まで含めてもっと調べてみたいと思っている。例えば熊野地方へ、舒(徐)の地方から来たといわれる徐福なども、当時の日本がシナかぶれして、仙人の術を解するようになっていたと思い込んだのかもしれない。また孔子が「東海を蹈んで死するあらんのみ」といったのも、扶桑を理想境とする東海主義のあらわれと見られないこともない。
越後の古志郡というのはあまり古くないが、越前の敦賀とか三国とかから越後まで、ずっと越と昔はいったものであろうが、「こし」