Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Read 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 257,350 characters · 507 screens
古書に「文作」とあるその読み方は判然しないが、田舎の人々の呼ぶのを聞けば、クロモンジャといっている。これが今日のクロモジと変訛したのであろう。
京都あたりで、この木は鳥木もしくは鳥柴などと呼ばれ、狩の獲物の鳥を献上するさいに、この木に縛りつける習いがあった。東北地方では、山で猟夫が猪や鹿のたぐいや、時には鳥などを獲った時、先達はまず獲物の内臓の一部、特に心臓などをこの木につきさして狩りの神を祭るという風習がある。こうした神の祭りの供え物に使用されるというその他の数例からも、祭木にくさぐさのものをつけて神に捧げた日本の固有信仰の一つの特色が窺われるのである。現在でこそわれわれはヌサ奉るといって、専ら絹麻布や純白の紙を祭の木につけて供するし、それを幣帛と総称しておるが、もとはそれ以外に食物を木につけて捧げたものであったらしい。そしてこの木がただ単に祭の中心というだけでなく、目に見えぬ神霊の拠り給う神座であったため、この木にとりつけることが最も確実な伝達の方式であると考えていたのであろう。
ところで、天然の生枝を祭木とする場合、今でも最も多く用いられるのは真榊であるが、これとても現在の一種類だけに固定したのは、どのような根拠かは判らないが、中古のことであり、その上この木の分布は全国的ではないのである。