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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Read 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 257,350 characters · 507 screens
つまりシュプラッハ・インゼル(言語島)になるわけだから、そこだけが変って大勢には影響しなかった。それに国替えをすると、何処の言葉だか判らないものになってしまう。田山花袋なんかの言葉の中にも、とうとう死ぬまで作品の中に現われていた方言があった。あれは上州館林の人だったが、藩主の秋元という家は度々国替えになって、もと山形にいたのが館林に移ったので、田山の母君も山形で育った人であった。そのため田山君も館林の周囲ではいわない言葉を時々使っていた。例えば「居眠り」という言葉が東京にあるが、東北では「ネムッカケ」という。関東ではいわないのに、田山君には自分の家で使うのでそれが分らず、「ネムッカケ」という言葉を作品の中に書いている。そんなことは注意すれば他にもあって、知らずに使っていて、いい言葉もあり、決して悪い言葉ばかりではない。
私らはあまり使わないが、方言に対して標準語という言葉がある。共通語と今ではいう様だが、これはもっとふやさなければならない。
またアクセントの問題もあるが、私はとうとう故郷を離れて七十年間、上方の方のアクセントですごしてしまった。近ごろやっと判ったのに「月落ち烏啼いて」