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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Read 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 240,656 characters · 478 screens
「珠数屋というからには仏に縁がある筈、よもやあれなる大尽、切支丹宗徒ではあるまいな」
「ねえんです。ねえんです。切支丹どころか真宗のこちこちなんだのに、只あの変な観音様を内証に所持しているというだけで、やみくも因縁つけようというんだから、今となっちゃあっしまでも野郎達四人が憎くなるんです。言ううちにも、お大尽がお仕置にでもなッちや可哀そうだから、ひと肌ぬいでおくんなせえまし。大尽のうちゃ、つい近くの西本願寺様を表へ廻ったところなんだから、行ってみりゃ容子がお分りの筈です。おお痛てえ! もう死にそうなんだッ。打ち斬っておくんなせえまし! 早えところお出かけなすって、打ッた斬っておくんなせえまし! 後生でござんす! 後生でござんす!」
「ようし! 参ろうぞ。対手が所司代付きとあらば、骨があるだけに、どうやらずんと退屈払いが出来そうじゃわい。ならば八ツ橋太夫、弥太一とやらの介抱手当は、しかと頼んでおくぞ」
「大丈夫でござんす。御縁があらばあとでしッぽりと、いいえ、ゆるゆる。……ゆずる葉! お乗り物じゃ。お乗り物じゃ。早うお駕籠をとッて進ぜませい」
色香も程の、うれしく仇な八ツ橋の言葉をあとにして、ひらりと駕籠に乗るや一散走り。