Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Read 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 240,656 characters · 478 screens
五
音が違うのです。腕の出来る者が鳴らすと、同じ鍔鳴りは鍔鳴りであっても、ピーンと冴えて、音が違うのです。
早くも強敵と知ったか、たじたじとなってうしろに引いたのを、
「わッははは。軍師が違うわ。うしろ楯におつき遊ばす軍師がお違い申すわ。夜食に芋粥でも鱈腹すすって、せいぜい寝言でも吐かッしゃい」
すういと消えていった主水之介のその影のあとから、くやしげに屋敷の門が音も荒々しく締まりました。
五
そうしていち夜があけました。――深い霜の朝です。
つづいてまたひと夜があけました。――やはりいちめんに深い霜です。
三日目の朝がさらに訪れました。――満目荒涼いちめんに白々として、やはり深い霜です。
日光から江戸まではざッと三十里、飛脚でいって、早駕籠で来るならば、三日目のその今日あたりは、もうそろそろ妹菊路が駈けつける頃でした。待つうちに陽がおち、丁度夕方――。
「御老体」
「何じゃな」
「身共にわるい癖が一つござってな」
「なるほど、なるほど。里心がおつき申したか」
「どう仕って。宿までさせて頂いて、いろいろと御造作に預る居候の身がわがまま言うて相済まぬが、旅に出るとどういうものか身共、三日目に一度位ずつ、塩ものを食さぬと骨放れが致すようでならぬのじゃ。