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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Read 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 240,656 characters · 478 screens
木ッ葉旗本、行くぞッ、行くぞッ」
ののしり叫びざまにギラリギラリと抜いて放って、四人もろとも、正面左右から迫って来たのを、退屈男は莞爾たり!
「参るか。望まぬ殺生なれど向後の見せしめじゃ。ゆるゆるとこの向う傷に物を言わせてつかわそうぞ」
静かに呟きながら、愛用の一刀を音もなく抜き払いました。刹那! 何ともどうももう仕方がない。ひとたびわが退屈男の腰なる秋水が鞘走ったとならば、何ともどうももう仕方がないのです。
「みい!」
静かな声と共に、その秋水が音もなく最初のひとりを見舞いました。しかし、斬ったのはその右腕です。スパリと一二尺血しぶきもろとも、飛んで落ちたのを見眺めながら、何ともどうも不気味な微笑でした。にんめり微笑しつつ、静かに言いました。
「ともかくも役儀を持ったその方達じゃ。片腕ずつ殺いでおくのも却って面白かろうぞ。ほら、今度はそッちの獅子鼻じゃ。――すういと痛くないように斬ってつかわすぞ」
言ったかと思うと、本当にすういと斬りとるのだから、どうも仕方がないのです。と見て、残った二人が必死に逃げのびようとしたのを、裂帛の一声!
「またぬかッ。その方共を逃がしては、それこそまさしく片手落ちじゃ。